



暖炉ではぜる薪の音だけが響くリビング。
ニッキは古い本を片手に、ヒガシは温かいハーブティーを一口飲み、カッちゃんは窓の外に広がる銀世界をぼんやりと眺めていました。かつての世間の喧騒が嘘のように、穏やかな時間が流れています。
すると、ベランダの向こうに真っ白な「影」が三つ、音もなく現れました。
それは冬毛をまとった、雪のように白い3匹のオコジョでした。
「おい、見てみろよ」
ニッキが指さすと、ヒガシとカッちゃんも窓際に歩み寄ります。
3匹のオコジョは、等間隔で整列しました。
3匹はクイッと指パッチンの手をかかげました。
次の瞬間、静まり返った山荘に、「パチン」という乾いた音が響きます。
驚く3人の前で、オコジョたちは「君だけに」を歌い始めました。
それは、かつて彼らが歌ってきた、あの伝説のバラードです。
カッちゃんは、その透き通ったハーモニーに「あいつら、ハモリが完璧だ」と目を潤ませました。
ニッキは、小刻みにステップを刻むオコジョたちのリズム感に演出家としての顔で微笑みます。
ヒガシは、雪の中でもピンと背筋を伸ばし、指先まで洗練された彼らの所作に、静かに頷きました。
♪~ 君だけに ただ君だけに……
山荘のベランダという小さなステージで、雪をバックに歌うオコジョたち。そのひたむきな姿は、まるで「お疲れ様。よくがんばったね。」と伝えているかのようでした。
歌が終わると、3匹は本家の3人に向かって、揃って深々とお辞儀をしました。
ニッキ、ヒガシ、カッちゃんもまた、自然と手を叩き、彼らへの敬意を表しました。
拍手の余韻の中、オコジョたちは一度だけ小さく「キュッ」と鳴き、真っ白な雪原へと消えていきました。