森の奥深く、静かな巣穴の中で、くまさんはまだぐっすりと眠っていました。

「くまさん、はるですよー!」

春の訪れを知らせるように、お花たちは巣穴をのぞき込みながら声をかけました。あたたかな風が森にふき、鳥たちがさえずり、小川のせせらぎも楽しそうに響いています。

でも、くまさんは目を覚ましません。

「どうしよう?くまさんが起きないよ。」

お花たちは困ってしまいました。そこで、森の仲間たちにも声をかけることにしました。

「リスさん、くまさんを起こして!」

リスさんはくまさんの鼻先にそっとどんぐりを置いてみました。でも、くまさんはぐーぐー寝たままです。

「じゃあ、うぐいすさん、春の歌を歌って!」

うぐいすさんが美しい声で歌い始めました。でも、くまさんは目をこすりながら、またすぐに寝てしまいました。

「これはもう、あの方法しかないね!」

そう言って、お日さまがにっこりと笑いました。そして、巣穴の入り口からぽかぽかの光をそっと送りました。

そのあたたかさに包まれて、くまさんはようやく目を開けました。

「んん…なんだかいい気持ち…」

大きく伸びをして、くまさんはゆっくりと起き上がりました。

「わあ!もう春なんだね!」

くまさんが外に出ると、お花たちはにこにこと微笑み、森のみんなも嬉しそうにくまさんを迎えました。

「おはよう、くまさん!」

「おはよう、みんな!」

くまさんは春の香りをいっぱい吸い込んで、嬉しそうに森を歩き始めました。

こうして、くまさんの春がようやく始まったのでした。