
ある春の日。
アドゥとエモンは、散歩に出かけた
陽の光はやわらかく、風はどこか気怠げに吹き、世界はまるで夢の続きのようであった。二匹は言葉を持たぬが、互いの鼓動で何かを知り、何かを感じながら歩いている。その足取りは、何かを探しているようでもあり、ただ気まぐれに身をゆだねているようでもあった。
ふと、飼い主がスターバックスに立ち寄った。
彼の顔には、ひどく満ち足りた表情が浮かんでいた。片手に奇妙な名のついた飲み物を掲げ、それを神々しいもののように写真に収めている。「ジョーカインド スヌーピーキャラメルチョコレートオーツミルクフラペチーノ」何かの呪文のようである。
アドゥとエモンは、ちらりとその様子を見上げたが、すぐにまた歩き出した。春の風は甘く、だがどこか切なかった。