町工場で働くエンジニアのリョウは、
日々仕事と向き合いながら夢を描いていました。
自分の手で作ったヨットで世界を旅したい――
そんな願いを叶えるため、
リョウはクラウドファンディングを立ち上げました。
多くの人々がその熱意に心を動かされ、資金が集まりました。
ヨットが完成し、いよいよ旅立ちの日。
支援者の一人からリョウに贈られたのは、一羽のにわとりでした。
「旅は孤独になりがちだから、この子を連れて行って。」
リョウはにわとりを「ココ」と名付け、
大切な航海の仲間にしました。ココはたくさん卵を産み、
リョウにタンパク源を提供しました。
嵐の日も、穏やかな日も、
リョウとココはヨットで風を感じながら進みました。
ある日、大きな嵐に襲われました。
荒波に揉まれたヨットは小さな島に流れ着きます。
ヨットを修理していると、そこに現れたのは、
美しい角を持つトナカイでした。
「旅人よ、この島で助けを必要とする者たちがいる。
彼らを助ければ、あなたの旅もより豊かになるだろう。」
トナカイの導きで島を探索すると、
リョウは嵐で壊れた巣の中で震える3匹のすずめを見つけました。
リョウはヨットの予備帆と木片を使い、
すずめたちの巣を修復しました。
すずめたちは喜び、
巣の中から光る石を取り出してリョウに渡しました。
「これは私たちの宝物。
でも、あなたの旅にもっと役立つかもしれない。」
トナカイも感謝の言葉を述べ、
すずめたちに見送られながら島を後にしました。
その後、旅を続けていたリョウは、
不思議なお姫様に出会います。
彼女は、星の国から地球に落ちてきたことを語りました。
「私の国に帰る方法が分からないの。」
リョウは光る石を見せながら、
「これなら役立つかもしれない」と話すと、
お姫様は驚きました。
「これは星の国の力を宿した石。
この石を使えば、私の国に帰れるかもしれない!」
リョウは決意を固め、
ヨットを改造して宇宙へ飛べるロケットを作りました。
光る石はその推進力の鍵となり、
リョウの設計は見事に完成。
いよいよ発射の日が訪れます。
リョウはゆで卵をお土産として渡しました。
ロケットに乗り込んだお姫様は
リョウに感謝の言葉を伝えました。
「ありがとう、リョウ。
あなたの優しさと技術がなければ、
私は星の国に帰れなかった。」
ロケットは輝く尾を引きながら空へと飛び立ちました。
リョウは地上からそれを見送り、
無事に星の国へたどり着けることを祈りました。
お姫様が空の中に消えるまで、
リョウとココは空を見上げ続けました。