公園の真ん中に、3本の大きなイチョウの木が立っていました。
秋のある日、ワンちゃんが飼い主さんと
一緒に公園を散歩していました。
イチョウの葉っぱが鮮やかな黄色に染まっていて、
風が吹くたびにキラキラと光を反射していました。
「きれいだなぁ」とワンちゃんが見上げると、
葉っぱたちがひそひそと話し始めました。
「ワンちゃん、もうすぐ私たち、地面に降りるの。」
「降りるって?」とワンちゃんが聞くと、
葉っぱたちは優しく笑いながら答えました。
「しばらくのお別れだよ。でもね、
また春に会えるから安心して。」
ワンちゃんは少し寂しくなりながらも、
「また春にね!」と葉っぱたちに声をかけました。
それから数週間後、ワンちゃんが再び公園に来ると、
イチョウの葉っぱは地面に降りていました。
地面一面が黄色のじゅうたんになっていて、
ワンちゃんはふわふわの上を楽しそうに駆け回りました。
さらに冬が訪れ、ワンちゃんが公園に行くと、
地面は白い雪に覆われていました。
イチョウの木にも雪がつもり、寒そうに見えました。
けれど、ワンちゃんは
「イチョウさん、寒くてもがんばってね」と励ましました。
やがて春の風が吹き始めました。
ワンちゃんがくんくんと鼻を動かすと、
どこか新しい匂いがします。
イチョウの木には、小さな黄緑色の芽が顔を出していました。
「また会えたね!」とワンちゃんが嬉しそうに言うと、
葉っぱも優しく揺れて「ただいま」と答えてくれました。
それから季節はすすみ、夏がやってきました。
暑い日差しの下、イチョウの木は緑色の葉っぱを広げ、
木陰を作っていました。ワンちゃんは涼しい木陰に入って、
気持ちよさそうにお昼寝をしました。
葉っぱたちはそっと風に揺れ、優しい音を奏でていました。